第12章 夢見ガール シーザー
薄暗い廊下を歩き、リサリサさんの言っていたであろう部屋のドアの前に立つ。中に誰かがいるようで隙間から光が漏れている。
暫く入っていいのかと考えてから、ノックをしてはいろうと考えた。きっとこの中にいる人は私に何か用事があるのだろう、だから私を1人で呼び出したんだろう。
「…あの」
何度ノックしても返事はなかった。つい声をかけてみたが返答は聞こえない。静かに開けてみるとやはり誰かがいるのだろう、気配を感じた。
「こんにちは」
挨拶をしても返事はない。誰がいるんだろうか、私は何故ここへ行けと言われたのか聞いてくればよかったと少し後悔していると奥の方から物音が聞こえた。
そこへ行ってみるとカーテンがしまっているところで、中にベッドがあるとわかった。きっと誰かが寝ているのだろう。誰が寝ているのか、といちいち確認するのは失礼な事だろうが、私は呼ばれた身なのだから少し様子を伺うのは失礼ではないだろう。そう思ってカーテンを少しだけ開けて確認する。
「…え?」
中には見慣れた人がいた。いや、見慣れてはいない、見たことがある人が眠っていた。
酸素マスクをつけ、頭には包帯が巻かれて硬く目を閉じている。手足には痛々しい程の傷が沢山あり、いたるところに包帯が巻かれている。相当大けがをした人なのだろう。医療器具に囲まれているところからして九死に一生を得た人だ。
「な、んで」
その固く閉ざされた目の下にはアザのようなマーク。金色の髪の毛が美しい。筋肉質の体。
私は、知っていた。その人物を。
「シーザー…?」
彼は死んだと告げられていた。亡骸は見せられないほどのもので埋葬はこちらがしたとリサリサさんやジョセフはいっていた。代わりに送られたのはシーザーがポケットに入れていたという指輪だけだった。
でも、目の前で寝ているのは確実にシーザー、私の知っているシーザーだった。
「…しんで、ない」
シーザーの手首に手を添え、脈を確認してしまった。しっかりと、生きていた。