第5章 繭
「…!?!」
いきなりの言葉に
拍子抜けしてしまった
もしかしたらどこかで会ってるかと、
私のことを知ってるのかもと思ったけど
違うみたい
「ふ、ふふ…おもしろいのね」
でもなんだか
この人も、金木くんのような
どこか懐かしい
「ヒデ…もっと深刻な顔してたからびっくりだよ」
もしかしたら、
私にもこんなときがあったのかもしれない
それはきっと、
幸せ、と呼べることだろう
「授業、行こうぜ!ほら、えーと、」
「皇」
「皇?珍しいな
まいいや、行こう皇!」
「うん」
この人は人懐っこい、というのかな
初対面なのにこの慣れの速さ、
すごい、な
「ほーらカネキも!」
そう言って金木くんの肩に腕を回し歩き始めた。
私はそんな二人の背中を眺め、
窓の外に目を移した。
「…………」
それを彼が見てるなんて