誰よりも君で。heiji×kazuha恋物語【名探偵コナン】
第16章 別れ夢~平次の決断~
「俺、和葉と結婚する。もちろん就職はしっかりするから」
平蔵は天井をむいてふぅとため息をついた。
「お前の人生や。好きにせぇ。やけんど、一度決めたことは男やったら踏み外すなよ」
「あぁ。分かってる」
ガラッー
静かな病室に大きくドアが開く音が響いた。
「おじちゃん!!具合大丈夫?!」
和葉が心配そうな顔をして平蔵の元へ駆け寄った。
「おぉ。和葉ちゃん。来てくれたんか。ありがとうなぁ」
「か…和葉。何でお前、ここにいんねん」
「平次の後つけてきたんやん。あたしだっておじちゃんのこと心配やから。これ、良かったら元気でるよー食べて」
そう言って和葉は買ってきた果物を差し出した。
「うまそうやな。ほんじゃ早速、リンゴむいてくれや」
「もぉー。平次のために買ってきたんとちゃうで。おじちゃんのためにやっ!」
「まぁ、ええやないか。和葉ちゃん。平次にもむいたってくれ」
「う…うん。分かった」
和葉はベットの隣の引き出しから包丁を取り出してスルスルとリンゴの皮をむきはじめた。
「和葉ちゃん、うまいこと皮むくなぁ。静に似てるで。こりゃ立派な嫁さんになるな」
「へ…?!よ…嫁さん?!…またうまいこと言うて」
そうしているうちにリンゴを切り分けた。
「旨いリンゴやで」
平次は一口でリンゴを完食した。
「もっと味わって食べーな」
「俺は十分、味おーたわ」
そんな会話風景を見ていた平蔵が笑いながら「ええ夫婦になれよ」と言った。
「ふうふ…?…お…おじちゃん。冗談やめてーな」
和葉は自分の顔が赤くなっていくのを感じて病室の外へ出た。
(おじちゃんに夫婦なんて言われたらメッチャ恥ずかしいやん)
熱くなる顔を手で扇いでいると平次が病室から出てきた。
「あれー?和葉、顔ごっつー赤こーなってるやないか」
「あ…当たり前やん!夫婦なんか言われたら恥ずかしーに決まっ…」
平次は和葉を引き寄せキスした。