誰よりも君で。heiji×kazuha恋物語【名探偵コナン】
第10章 2人の願い事
進級学期。外は桜の花びらで満開だった。
「今日からあたしら最高学年なんやな」
「ほんまに。早いもんやで」
平次は桜の木を見ながら言った。
「桜で思い出すわ。和葉の歌」
「あぁ。京都のやろ?」
「ちょぉうとてーな」
「ええよ」
和葉は声を整え桜の花びらが舞い散る中、歌い始めた。
「ま~るたけえびすにおしおいけ~よめさんろっかくたこにしき~しあやぶったか~まつまんごじょうせったちゃらちゃらうおのたな~ろくじょうしっちょうとおりすぎ~はっちょうこえればとおじみち~くじょおじでとどめさす~」
その歌を聞きながら平次はまりをついている幼い和葉の姿を思い出していた。
「お前、まだ、嫁さんって歌てるんか?」
「しゃーないやん。癖で歌ってしまうんやから」
そうしているうちに学校に着いた。玄関へ行くとクラス替えの名簿が張り出されており生徒たちが集まりかなりざわついている。平次と和葉もそれぞれ人ごみに紛れて自分のクラスを探した。
「えっと~。あたしはB組…平次は…」
名簿の欄を辿っていくとそこには…
〖服部平次〗
「やったぁぁぁぁぁぁぁ」
和葉は人一倍大きい声で叫んだ。そして平次の元へ駆け込む。
「平次!あんたとあたし、同じクラスやで!」
「ほっ、ほんまかっ!?」
「うん!ほら」
和葉はB組の名簿を指差した。
「ほんまや!やったやんけっ!」
そうして2人は喜んだ。B組の教室に入ると剣道部員が多くいた。
「お!服部~良かったやないかー!愛する彼女と同じクラスになれて」
「お前、幸せもんやな。羨ましい」
「ラブラブな姿見せてくれよな」
平次と同級生の剣道部員が口を揃えて和葉のことを言ってきた。
「じゃかあしいっわっ!お前ら冷やかしすんなよ」
「おや?彼女と同じクラスになれて嬉しいんとちゃうんですか?」
「…っ。ま…まぁ嬉しいけど」
そう言って平次は友達らからそっと目をそらした。