誰よりも君で。heiji×kazuha恋物語【名探偵コナン】
第1章 静寂な夜に…~平次の告白~
「平次~!おはよ~!」
朝早く、和葉は手いっぱいの荷物をもって平次の家を訪ねていた。
「どないしたんや。こんな朝早くに~」
起きたばっかりの平次が玄関の前で和葉に問う。
「はぁ~?なにいってんの~?今日は新一くんが帰ってきたから蘭ちゃんらと温泉に行く約束やろ」
「あ!そうやったな!ちょっと待っとれ、和葉」
和葉の言葉にようやく状況をつかんだ平次は急いで旅行の支度を始めた。数分すると平次が慌てた様子で玄関から出てきた。
「もぉー。遅いわ。平次」
「すまんすまん。ほな行こか」
こうして待ち合わせのバス停へと向かった。すでに、バス停には新一、蘭がいた。
「ごめんなー!遅なってしもた~」
和葉が手を振りながら2人の元に駆け寄る。
「うん!大丈夫。まだバス来てないし」
蘭はそう言うと和葉の荷物を持った。
「あれ?蘭ちゃんの後ろにいる子誰?」
和葉は蘭の隣に小さな少年がいることに気が付いた。
「ああ、この子は棚尾鋼(たなお はがね)くん。私の親戚の子。こう見えてまだ7歳なんだ~。たまたま家に遊びにきたから連れてきたの」
「よろしくお願いします」
蘭の紹介に鋼が和葉にあいさつした。
「よろしくなあ~!7歳やのにしっかりしてるな~。平次、見習いな」
「だぁほ。なんでこんなちっちゃいぼーず見習わなあかんねん」
「ちっちゃいぼーずゆーたらあかんわ。かわいそうに。ごめんなー。鋼くん」
「大丈夫ですよ。それより、お姉ちゃんは何て言う名前ですか?」
「あ、。紹介遅れたな。あたしは遠山和葉。で、こっちの焦げ焦げの色黒男が服部平次やで」
「だっ…誰が色黒男じゃっ!」
怒る平次に目もくれず鋼は一礼した。
「おーい!皆。バス、来たぞ」
「じゃ。行こか。鋼くん」
「はい!」
後ろにいる平次をほっていくように和葉はバスに乗り込んだ。バス内は他の客ですでにいっぱいになっている。よく見渡すとバラバラで3席が空いていた。
「どうしよ~。1人あまっちゃう」
心配そうに蘭は言った。
「大丈夫やで!蘭ちゃん。鋼くんはあたしのひざの上に乗せてあげるから、丁度皆乗れるでぇ」
和葉は笑顔で蘭に言った。
「ありがとう。じゃあ私と和葉ちゃん、鋼くんで前の2席座るから、服部くんと新一で後ろの2席座ってね」
その言葉にしたがって皆は座席に座った。座ると同時に和葉が蘭の耳に密かに耳打ちした。