第8章 別れから再会
その男は静かに、でも寂しそうに立っていた。
錦戸は、震えていた。
何故、この人を忘れてたんだろ?
こんなに大切な人を....
僕はこの人が大好きだった.....
誰よりも優しくって泣き虫な....
錦戸は、近寄ろうとしようとした。
すると、その人は口を開いた。
丸山「.....悪いことは言わない、このまま帰るんだ..」
錦戸の足が止まった。
錦戸「なぜなん?」
その人は、ふわぁっと空気のように飛び上がると、羽根のように錦戸の前に降りた。
丸山「....君たちの顔に死相がでている。」
悲しそうに告げる。
錦戸「死相ってなんや?」
不思議そうな顔をしてる錦戸に、横山が口を挟んだ。
横山「俺らが、ここで命を落とすって事や..」
その言葉に誰もが驚いた。
安田「えっ、何で、どういう事なん...」
丸山「まだ今なら間に合う、早くこの屋敷から出るんだ...」
その人は優しく微笑んだ。
村上「あんたは誰なん?」
その言葉を聞くと、錦戸は呟くように言った。
錦戸「誰よりも優しい人だよ...」
そう言うと振り向いて部屋を出ようとした時だった
この屋敷の寿命がきたのか、
不気味な音とをたてて、崩れ始めたのだった。