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闇の底から

第9章 邂逅


「兄さん、何なのその渾名!」
奏が喰いつき、凜は本能的に耳を塞いだ。
「……てなわけで凜は凄いんだ!!」
「やめてよもうっ」
「さっすが、次期得宗様だと違うんだね、いろいろ」
ちゃらけた軽い口調の中に含まれた棘も毒も一緒くたにして全部呑み込む。もう痛みを感じる時期はとうに過ぎて、ほんの一瞬熱を感じるだけに過ぎない。

「それはそうと凜、宗馬殿との縁談は破談にさせていただきましてよ?」
目を伴侶の寝顔に遣りながらそっと爆弾を投下した伯母に戦慄したのは要だった。
「母上、それはまた…あの桜さんが直々に持って来て下さったお話ではないですか!」
そしてその場にいた者たちはことの顛末を知る。

「えっ私?」と素頓狂な声を上げた本家の長女奏と宗馬の縁談が代わりに進められているのだった。
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