第1章 時を経て。
「エレンっ!あの人…」
一緒に大通りを歩くアルミンが俺を引き止めた。
スクランブル交差点の向こう側に見えたあの人。
小柄だけどあの存在感は消せるわけがない。
鋭い三白眼。漆黒の髪。灰色の瞳。
忘れるわけがない。
「兵長…」
人々が行き交う交差点を掻き分けその人へと向かう。
やっと…やっと会えた!
力強くその腕を引いた。
その灰色の瞳が俺を捕らえた。
そして、見開く。
「…何だ…お前。」
気怠そうに答えたその言葉に
一瞬で…奈落の底に突き落とされたような気分だった。
…この人に前世の記憶は……ない。
後から追いかけてきたアルミンも
その状況が解ったようで
いかにも人間違いでしたと笑顔を向け謝罪する。
『兵長っ!』
堪らず叫んだその名前に目の前のこの人は
眉間のシワを深くさせた。
「あ?頭おかしいのか…こいつは?」
そう、俺を指差しアルミンに聞く。
アルミンはただ、ひたすら謝っていた。
その状況が俺には理解できなかった。