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Dye D?

第12章 十字架


私は恐怖のあまり、自分の呼吸の音にさえ驚いていた。
やっとの思いで逃げた先の扉を開けると...

「......教会?」

広い真っ白な部屋の奥に大きな十字架があり、
その下に、7つの棺があった。

「.....こ、ここは、」

私が思った瞬間に、人の気配を感じた。
私は、とっさに身を隠せる十字架の後ろのすみに隠れた。

錦戸「ちっ、確かにここに入ったと思ったが」

悔しそうに錦戸が言う。

安田「不思議なもんやね、十字架を嫌う俺らが、眠る時だけ十字架に守られるって」

少しおどけた感じで、安田は言った。

錦戸「笑い事ちゃうし、ほんまに忌々しい、
あの夜さえなかったら俺らはこんな身体にも、十字架にもしばられんかったのに」

怒りをあらわにする錦戸を横目に、
丸山は自分の棺を撫でながら二人に聞いた。

丸山「あの3つの選択、どれを選ぶ?」

その言葉は冷たく部屋に響き渡った。
私は自分の生命がこの人達の手のひらの上にあるのだということを改めて自覚しながら、
息を殺して聞いていた。

錦戸「わからん、上の三人がどうするかやな」

錦戸は力なく、俯きながら答えた。

安田「俺、実は気になる事があんねん、ずっと....」

安田は思いきった顔で二人に告げた。

安田「大倉、ずっと変じゃない?あの女が来てからやけど、アイツはもっと別の事を感じてるのかもしれん、
それが、俺らの運命を動かすような気がすんねん」

その言葉に動揺した錦戸は

錦戸「なんや、大倉が俺らをはめるって事か?」

錦戸は怒りながら安田の胸ぐらを掴んだ。
それを抑えるように丸山は
丸山「亮ちゃん、ちゃうやん、大倉の感じてるモノは何か分からないけど、まだ何か隠されてる事があるって事やろ?ヤス、」

丸山の言葉に小さく頷いた安田は
安田「うん、俺らはどうなるんやろな」
寂しそうに呟いた。
考え込む二人をよそに
錦戸「どこにいるのかな、お嬢さんー」

わざとらしく私が隠れている近くをゆっくりゆっくり歩きだした。

丸山「亮ちゃん…」

その様子に丸山は動揺していた。

錦戸「もう面倒くさい、答えなんか自然と出る」
錦戸は力強く吐き捨てた。

錦戸「どこかな、どこかな、」

ゆっくりと獲物を追いつめるように、錦戸は部屋をゆっくりと歩く

丸山「あの日もそうだったよね...」

丸山が言うと、錦戸の足が止まった。
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