第1章 うしろの正面だぁれ?
「あーあ、行っちゃいましたね」
「沖田先生」
小道から、沖田先生が出て来た。
急に兄さんはどっか行っちゃったし、斉藤先生にはあんなこと言われたから、今までに感じたことない恐怖に怯えていた私は、少しだけ安心した。
「大丈夫ですよ、さん。そんな顔しなくても、私が貴方を守ってみせます。今すぐ。この手で、ね?」
ニッコリと笑う沖田先生。彼の顔に違和感を覚えたけれど、その理由を確かめることが出来なかった。
「なん、で……?」
「何で?可笑しいことを聞きますね」
「あ、がッ」
沖田先生愛用の菊一文字が、私の体から抜けた。
「私はちゃんと言ったじゃないですか。……今すぐこの手で、貴方を守る、と」
そう。恐怖から、ね。
かごめ かごめ
籠の中のトリは
いついつ出会う 夜明けの晩に
鶴と亀が滑った―――……