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うしろの正面だぁれ?

第1章 うしろの正面だぁれ?


「くん……」
「うわぁ!?吃驚した!」
 突然現れた斉藤先生に、思わず大声を上げてしまう。
 いつも突然現れるから、すっごく心の蔵に悪い。
「驚かせてすまない。……くん。今宵は、気をつけたまえ」
「どういう、意味ですか?」
「死相、が出ておる」
「それって、」
 今日死ぬってことですか?そう聞きたかったけど、出来なかった。
 すぐ近くに兄さんが来ていたから。
「。準備は出来てる?」
「うん。大丈夫」
「じゃ、行こうか」
 兄さんが屯所の門を潜った。私もすぐにその後を追いかける。
「。さっき一と、なに話してたの?」
「私もよくわかんない。……なんか、死相が出てるって言われた。これって私、今日死ぬってことかな?」
 やっと出した言葉に、自分で身震いした。
 本当に死んじゃったら、どうしよう?そうしたら、もう兄さんにも左之にも平助にも他の皆にも、一生会えないんだ。
 目頭が熱くなった。初めて、死ぬなんて嫌だって思った。
「大丈夫だヨ、。どんなことがあっても、俺が守ってみせるから。だから、そんな顔すんな」
「うん。ありがとう、兄さん」
 不安な気持ちが出来るだけわからないように、笑顔で言った時だ。
 突然、叫び声が聞こえてきた。
 何処からともなく濃い鉄の匂いが漂ってきて、人が死んだんだとわかる。
「はここにいて!絶対に動くなよ!!」
「あ、兄さんっ」
 私の制止の声も聞かずに、兄さんは駆けて行った。
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