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うしろの正面だぁれ?

第1章 うしろの正面だぁれ?


 かごめ かごめ
 籠の中のトリは
 いついつ出会う 夜明けの晩に
 鶴と亀が滑った


「つけられてる?」
「うん。夜見回りに行ってる時にさ、後ろから誰かがつけて来てるような気がするんだよ」
 最近不安に思っていることを兄さんに相談する。
 兄さんはしばらく考えた後、側に置いていた刀を取った。
「安心しな、。そいつのこと、二度とそんなこと出来ない体にしてやるからサ」
「ちょっ、急になに言ってんのさ⁉︎そこまでしてって言ってないでしょ!!」
 立ち上がった兄さんの袴を慌てて掴んで止める。と兄さんは、不機嫌全開な顔でその場に座った。
「。俺はお前が心配だから、こういう行動をとるんだヨ?それなのに止めちゃうワケ?」
「残念ながら止めちゃうんだよ。だってもし相手が長州とかだったらどうする?私達だけで叩き斬るよりちゃんと副長達にも報告すべきだと思うんだけど」
「確かにそうだけどサ……」
 そう思うなら何で俺の部屋に来たのヨ?って聞いてくる兄さんに「つけられてる気がするだけだから正式に報告していいか迷ったから」と話す。そしたら「なら最初からそう言いなサイ!」と怒られた。
「とにかく、兄さんはどう思う?」
「んー……。一応報告することに越したことはないんじゃナイ?何か遭ってからじゃ遅いし」
 「よっこらしょ」とジジ臭く立ち上がる兄さんに、頭の隅でもうそんな年なのかなー、なんてどうでもいいことを考えた。
「それじゃ、さっさと報告しちゃおう。口下手だから、俺も一緒に行ってやるヨ」
「本当!?助かるよ!ありがと、兄さん」
 差し出してくれた兄さんの手を握って、立ち上がる。これが、いけなかったのかな。……ううん。もっと前から選択を間違ってたんだ。
 きっと、兄さんに相談した時点で―――。
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