第4章 犠牲
ふっ、と現実に戻る。
彼女との馴れ初めを思い出していたが、そんなに時間は経っていなかったらしい。
もう2度と、戻らないあの日々。僕達の関係。
秀吉が黙って僕を見つめていた。
「とりあえず秀吉、あの女は今回の件にはなんの関係もないんだ。」
一応、釘をさしておく。
「朝鮮進出は、僕が、政治的な理由で1人で反対しているんだ。」
「…そうか。」
「今日は疲れてしまった、この話の続きは後でいいかな?」
そろそろ限界だった。
後悔、焦り、罪悪感、それらがもう僕を潰そうとしていた。
返事も聞かず、僕は秀吉の部屋を出た。