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糸車 2

第4章 犠牲


次の日。
僕は秀吉の部屋の前にいた。

絶対に僕は譲らない。
秀吉が部屋を出てけと言っても、秀吉が諦めるまで絶対に出て行かない。

そう強く心に誓って、襖を叩いた。

「秀吉。僕だ。」

返事はない。
そりゃそうだろう、別に構わない。

襖に手をかけて、開けた。
秀吉は外を見ていた。
僕の方を振り返りもしない。
そんなこと、もう慣れてしまった。

「秀吉。僕がどうしてここに来たのかわかるね?」

「貴様も欲しくなったか?朝鮮が。」

こういうイヤミも、もう慣れた。

「いらない。」


「………。」

「僕は、朝鮮はいらない。」

「なぜだ?」

「失うものが多過ぎるからだ。」

「得るものは多い。」

「そうかな。僕はそう思わないよ。」

「半兵衛、貴様は臆しているのか?」

「違うよ。」

「ならば、なぜ。」

「僕はこの国で十分だ。この国を賭けてまで得る必要はないと思うからだ。」
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