第1章 シェアハウス
「ただいま〜」
俺はテレビを見ていた。しかも結構な大音量で。見入っていたこともあって、Jが帰って来たことに気づかなかった。
「和、いない…あ」
背後の気配に気づき振り向いて「あ、Jおかえりなさーい」と軽い調子で言い、またテレビに向き直った。しばらくしていつの間にか背後の気配が消えていることに気づいた俺は不思議に思ってテレビをつけたままJを探した。何時もならスウェットに着替えて俺の横に座るのに、珍しい。
「J〜、どこ?」
俺の呼び掛けに応答する声はなく、風呂場や台所を探したけれどいなかった。
「外行ったのかな?」
一人呟いて仕方なくまたテレビを見始めた。