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unrequited love。

第2章 分かり易くて、素敵な君。


何故、彼はここで、僕の、机に突っ伏して呻いているのだろう。


風に靡く彼の短い黒髪にそっと手を伸ばす。

その黒髪を少し摘んでつんっ、と上へと引き上げる。


「いでででっ!? なに、なんなの黒子。急にやめてハゲちゃう」
「元々短いんだから少し位減ったところで誰も気付きませんよ」
「だからいいでしょ、みたいな顔すんな! おいこっち向け黒子!!」
「というか、なんでそんなに静かなんですか」
「……俺の好きな人が、そーゆーのがタイプなんだよ」
「君が静かに……? なんか、気持ち悪いですね」
「んなハッキリ言わんでもいいだろうがお前」


やっと、五月蝿くなった。

いつも騒がしい彼が静かだと、なんとも言えない緊張感があって嫌だ。

これで集中して本を読める。


やんややんやと騒がしい彼を放置し、僕は先日買ったばかりの小説を鞄から取り出し、ぺらぺらと数ページ捲る。

すると、

「菅谷! あんたにお客さんよー」

とクラスメイトの女子生徒の一言で、一気に教室が騒がしくなる。

「え、なに、告白!?」
「モテるなー。泣き虫の癖に」


これで、僕は静かに本を読める。







──と思ったのに。


「え、マジで!? あー、黒子ぉ、ちょい待っててな」


は?


そう僕に一言投げ、彼は颯爽と教室出入り口で待つ少女の所へと走っていった。
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