第30章 *青峰くんとデート
今日は、青峰くんとのデート。
あたしは昨日したことが、頭から離れなかった。
まさか自分からキスをしちゃうなんて。
そんなモヤモヤした気持ちのまま、青峰くんとの待ち合わせ場所へ行った。
「遅れてごめんっ!」
「…ったく待たせやがって。行くぞ」
青峰くんはあたしの手を強く引いた。
「おまえどこ行きてぇの?」
「んー…あ!」
あたしたちは市民体育館に来た。
「なんで体育館だよ?」
「あたし、青峰くんとバスケしたい!」
「あ!?」
そう。
あたしは青峰くんとバスケがしたくて体育館に来た。
いつも見てるだけだけど、なんとなくやってみたいなって思った。
試合中は怖い青峰くんだけど、あたしとバスケしたらどんなかんじなんだろう。
「ほら、やろ!」
あたしは青峰くんの手をつかみ走った。
「ワンオンワンでもやんのか?」
「うん!あたしのボール取ってね!じゃあ始めっ!」
「ちょっ、おいっ!」
あたしはボールを持って走った。
すぐに青峰くんが追いかけてきたけど、それがまた楽しかった。
あたしはシュートするたび青峰くんにブロックされてしまうし、ドリブルすらもなかなかできない。
でも青峰くんのボールを取ろうと必死に追いかけるのも楽しかった。
そして、青峰くんはとても笑顔だった。
試合中には絶対見せない笑顔。
あたしは嬉しかったし、きゅんとしてしまった。
時刻は18時。
もう何時間バスケをやっただろう。
「っはぁ、疲れたぁー!」
あたしは床に寝ころんだ。
「それはオレもだよ!久しぶりに疲れたわ」
青峰くんも寝ころんだ。
「アイス買お!」
あたしたちは自販で売っているアイスを買い、夜風にあたりながからアイスを食べた。
「おいしーっ!♪」
「アイスとか久しぶりだな」
…?
青峰くんが、急に黙ってしまった。
「…すげぇ楽しかった。また、してぇな」
「…うん」
「でももうできねぇな」
青峰くんが言った。
「赤司なんかといるより、オレのほうが楽しいんじゃねぇの?」
「…え?」
「ほら、帰るぞ」
青峰くんは、あたしの手を取り歩きだした。
あたしの家の前についた。
「最後に言う。オレはまだ好きだからな…じゃ」
そう言って、青峰くんは走っていってしまった。