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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第6章 走り出せ!





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「うぅ……っ」

一瞬か数時間かわからないが、意識が飛んだ。

二度目だが、一生慣れそうにもない。

吐き気が胸を縦横無尽に走り回っている。

それだけではなかった。

さっきまでフルマラソンでもできそうな健康体だったのに、今はひどく熱っぽい。これも二度目だ。一体どうしたことやら。

「はぁ……。



――っ!?」

息が止まる。

ため息が氷結して、喉から心臓が飛び出しかける。

なぜなら、顔をあげた目の前に

「…………」

すばらしく可憐な笑みで黒い物質を運ぶ、英国紳士がいたからだ。



――目が、あった。



「お邪魔しましたあああああああああああああああっ!!」

「!? ちょ、お前っ! ちょっと待て!!」

脱兎のごとく走り出す。彼はスコーンの皿を持っているから走れまい。

なぜ移動先が本田宅ではなくカークランド宅なのか? なぜ私を知っている口振りなのか? なぜ実物のアーサーはあんなに可愛いのか? んなこたどうだっていいっ! まずはあのスコーンから逃げることが、最・優・先事項だ!!
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