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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第6章 走り出せ!


「わからんなー」

時刻は21時半。

夕食入浴と主要なイベントを終え、私は机で本にかじりついてた。

「電磁気、磁気、電磁場、磁場……なにが違うのよもー!」

本の内容自体は易しい。

しかし用語や数式がでてくると頭が痛い。

というか、こんなことしてなにか意味があるのだろうか?

私は物言わないラジオを見つめた。

グレーの小型ラジオ。

スピーカーとなる無数の黒い穴に見つめられているようで、なんだか落ち着かない。

……もし、

喉がひきついて、息をのむ。

もしまたラジオをつけたら、

「どうなるの……?」

さっきは運良く帰れた。

でもそんな、原因もなにもかもが不明なラッキー(?)が続くのか?

机の脇の真新しい紙袋から、浴衣と湯のみが顔を覗かせている。

日本のスキルの一つ、過剰包装を施したそれをしばらく睨んでいた。

『まぁ……最近おかしなことばかりですから。別世界からの訪問者が現れても、おかしくないのかもしれません』

そう力無く笑った菊が、頭をよぎる。

「……」

いつの間に、私は立ち上がって着替えていた。

お気に入りのワンピースを手に取る。

黒を基調としたクラシカルなデザインが非常に可愛い、いざという時の服だ。

なんといっても、なんといっても、腰のベルトがコルセットのごとくしっかりしている。この重要さを、私以上に感じている者などいるまい。

借りた本はまた別の袋に入れ、紙袋に忍ばせた。THE・過剰包装。

「これでアッサリ行けなかったら――」

私は笑うぞ。

ラジオを掴み上げる。

電源をつける。カチッとした音を、確かに耳にする。

瞬間、

「ッ!!」

いつかのように、私は耳鳴りと酩酊感の海に放り込まれた。
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