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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第35章 第一部 エピローグ/夕明かりの先へ


「それと、あの場所には行くなよ」

「ゴーストタウンのこと?」

「うまくは言えねえけど、なんか、あそこは――」

言いよどみ、ロヴィーノは言葉を探す。

フェリシアーノは彼の手に自分の手をかさねた。

ぴくりと弱々しい反応を返す手を、安心させるように。

「わかった。大丈夫、いざとなればルートに隠れる」

冗談めかしたように笑ってみせる。

あの場所でのことについて、彼がなにか隠しているのはわかっていた。

誰にも言っていないようで、フェリシアーノも尋ねないでいた。

ロヴィーノはそれ以上言葉を続けなかった。

フェリシアーノが聞かないでいるのを、気づいているのだろうか。

「……フェリシアーノ」

「なに?」

「あのな、全部終わったら、お前に……」

「うん」

ロヴィーノの声が小さくなっていく。

彼の緑色の瞳を閉ざそうと、目蓋が重くなっていく。





時計の針は、もう“そのとき”をさしていた。






「つぎ起きたとき……お前に……だから……」

「うん……」

「だから……絶対に……」

「……うん……」



とぎれとぎれだった声が、やがて静かになった。

からっぽな静寂が、室内に満ちる。

閉じられた目蓋と安らかな表情は、見慣れた寝顔そのものだった。

ほんとうに、ただ、眠っているような。
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