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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第35章 第一部 エピローグ/夕明かりの先へ


「……兄ちゃん、かっこつけすぎ」

「な、なんだよ」

だしぬけな言葉だからか、それとも図星だからか。

うろたえたロヴィーノが口をとがらせる。

「みんながいたときのあれ。笑いすぎの涙じゃなくて、ホントに泣いてたでしょ」

「っ!」

「みんなは騙されてたみたいだけど、弟の俺は騙せないよ」

「で、でも、あぁでもしねえと――」

「うん。だからかっこつけすぎ。公子ちゃんがいるから?」

「ちっちちちげーよ!」

顔を赤くし激しく否定する兄に、フェリシアーノはくすくす笑った。

アントーニョの言った通りだ。

ロヴィーノは弟の反応に不服そうにしていたが、ふと真剣な表情に戻る。

「アントーニョがバカなことしようとしたら、とめろよ」

「うん、もちろん」

「……お前もだぞ。へんなことせず、じゃがいも野郎とかその兄貴をタテにしときゃいいんだ」

「……うん」

まわりくどい気遣いに、また微笑が口元にうかぶ。

これはさっきと同じ笑みだと、自分を騙す。

――だめ、俺が泣いてどうするんだ。

もう無視できなくなってしまった。

兄の瞳から、少しずつ光が失せているのを。

カウントダウンがもう、ゼロに迫っているのを。
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