第34章 昏睡による覚醒より
「と思うんだ。公子ならそれくらいできそうじゃね?」
……できたら末永く幸せに暮らせるのかな……
「ロヴィ! なんでそんな大事なこと言ってくれなかったんや! そいつ八つ裂きにしたる!」
「お兄さん『そいつもロヴィーノと同じ姿』って聞いたんだけど、できるの~?」
「な、なんやて!? 同じ姿!? ど、どないしよ……楽園と喜んでいいのか、きっちり叱らなあかんのか――」
「ばっかお前しっかりしろ!」
「せやかてギルだってルートが2人いたらどないするんや」
「う……っ、そ、それは……」
「フェリちゃんのそっくりさんもいたらフェリちゃん×2、ロヴィ×2で地獄の門番もニッコリせざるを得ないで」
ルートがいたら頭を抱え、アーサーがいたら「ハハ……」と乾いた笑みを浮かべているところだろうか。
「なら、さ」
ギルが、まるで用意していた台詞を言うように、口をひらく。
周囲を見渡し、注意をひきつけるように。
彼の視線が、私で止まった。
「検証してみるか?」
その瞳は、まっすぐに私を貫いていた。