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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第34章 昏睡による覚醒より


「その脳波も、既知の脳波の周波数どれにも当てはまらず、発生原因も不明です。
おそらく、現代の医学が解明していない領域――
“異変”にまつわるものでしょう」

“異変”というワードに、フェリちゃんの肩が小さく跳ねるのが見えた。

それはほとんど、現状解決不可能であることを意味する。

でも、そんな絶望、くそくらえだ。

私はもう一度あの空間へ行き、イオンなる人物とロヴィのそっくりさんからいろいろ聞き出し、異変解決を前進させてみせる。

私にはきっと、それができる。



「――それだけなら、まだいいのです」



そんな思考が、医師の言葉で遮られる。

「問題は、その脳波を打ち消すことのできる“なにか”が、30分前発生したということです」

いっそう硬さを増した医師の声が、静まりかえる病室に響いた。

誰もが医師の言葉に聞き入っていた。

「この脳波を便宜的にx波と呼びます。
私ははじめ、x波は電磁波的作用によるものと考えていました。

彼の状態を簡単に言うと、正常な人が、覚醒を常に抑制されているようなものです。
覚醒させず、昏睡させるなんらかの要因が、脳波にx波となって現れています。

例えるなら、電波妨害機器のそばにある携帯、でしょうか。
正常な機能を保持した携帯であっても、機器のせいで、通信ができなくなる、というような」

わかるでしょうか、というふうに医師は私たちを見まわした。

医師の言うところはつまり――

なんらかの要因が、本当は正常なロヴィーノを昏睡させている。

その要因は、脳波でx波となって現れる。

しかし30分前に、x波を妨害する“なにか”が現れた。

x波が妨害され=覚醒を抑圧するx波が妨害され、ロヴィーノは目を覚ました。

――といったところだろうか。
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