第34章 昏睡による覚醒より
「急に目を覚ましたんや! 公子ちゃんたちが来る30分くらい前に」
笑い泣きしている親分が、ロヴィを力いっぱい抱きしめながら言った。
30分前か。
私たちが出発したのは、1時間半ほど前だった。
私は7日半“こちら”にとどまっていて、ロヴィが病院へ行ったのは、ゴーストタウンから帰還した翌日。
話によると、ロヴィは病院へ行ってすぐ、眠りについたらしい。
つまり、彼は6日間意識を失っていた。
そして今日、目が覚めたというわけだ。
「昏睡状態と聞いて、私、本当に心臓が口から出そうでした」
戦々恐々とした私の声音に、ロヴィは鼻で笑う。
「ったく、どいつもこいつも心配しすぎなんだよコノヤロー」
だがその憎まれ口も、どこか申し訳なさと、照れくささをはらんでいた。
それは多分、強がりも含んでいる。
、、、、、、、
思い当たることがある彼は、本当は、誰よりも不安なはずだ。
今、わかった。
私が、この回のトリップで、なにをやり残しているのかが。
そしてそのために、もう一度あそこに――ゴーストタウンに行かねばならないことが。
そんな予感を覚えたとき、
「……皆さんの中に、電波妨害機器をお持ちの方はいますか?」
白衣の男が、静かに口を開いた。