第33章 閉じ始める序説まで
「なにか理由があって話せなかったんですね?」
「……」
ロヴィーノは唇を噛みしめている。
「待ちます、話せるようになるまで。まだ帰ってきたばかりですし、仕方ないです。自分を責めないでください」
「……お前らが、そうやって、甘えさせるから……」
「だってみんな、ロヴィーノが大切なんです」
「…………」
彼の顔が苦悶に歪む。
その目でなにを見てきたのだろうか。
ロヴィーノが語った、『青い髪の、女みたいに綺麗なやつ』――
つまり“イオン”が関わっているのは、ほぼ間違いない。
それ以外は、ただ謎が増えただけだ。
私は――収穫と呼べるものを、持って帰ってこれたのだろうか?
その自問に、頷くことはできなかった。
「ひとつ、教えてくれ」
ロヴィーノが、懇願にも似た口調で尋ねる。
私をまっすぐ貫く瞳には、探るような疑いと、純粋な困惑が混在していた。
「どうしてお前は、そうまでして協力する?」