第33章 閉じ始める序説まで
その問いは、全く予想外とも言えるものだった。
それでいて、至極当然で、幾度も自問したものでもあった。
理屈はいろいろ捏ねてきた。
けれど、しっくりくる答えはまだ見つかっていない。
「なぜかはわかりません。だけど……そうしたい、“そうすべき”だと思ったから」
というか、
「皆さんの力になりたいって思ったから、じゃダメですか?」
そう言うと、ロヴィーノが「は?」と言いたげに、ポカーンと眉をしかめているのに気づいた。
鳩が豆鉄砲を食らうと思ったら、ラスクが落ちてきた、みたいな顔だった。ラスクはおいしいけども。
私の表情があまりに単純で、率直だったのか。
ロヴィーノは言葉が見つからないでいる。
ややあって、疲れきったようなため息が、彼の口から吐き出された。
「あ~わけわかんね」
「えぇっ!?」
その表情筋は脱力しきっており、思考を放棄したようにも見える。
私そんなおかしなことを言ったか!?
「それは一体どういう意味で何がわからないのか説明――って」
食ってかかろうとしたが、時すでに遅し。
ロヴィーノの目蓋は閉じられていた。
「俺は寝る」という意思表示なのか、それとも疲れきって寝入ってしまったのか。
「――……」
けれど、二人が穏やかに目を閉じている光景に――どんな言葉もむだな気がした。
今は、ただこの平和な時間が続けばいい。
自分の目蓋が重くなってくるのを感じながら、そう思った。