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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第33章 閉じ始める序説まで


「怪我も特にないようですね」

「はい。外傷は見当たりませんけど……」

菊の言葉に、ロヴィーノが撃たれたことを思い出す。

外傷は、なかった。けれど――本当になんともなかったのだろうか?

それから、“あの感覚”も想起させられた。

体中をエネルギーの奔流が荒れ狂い、偽のロヴィーノを吹っ飛ばした――あの感覚を。

そのことについて、誰かが触れるような、興味を持つような、そんな素振りが、ない。

『まあ、異世界人の“公子”なら、そんなことができてもおかしくないな』

と、一同の顔が語っていた。

おかしい、それは間違ってる、誰かつっこめよ。

おそらく麻痺しているのだろう。

異変によってフシギなことが起きすぎて、もはや私に関わる諸々のフシギは「考えるのをやめた」枠に追いやられているのかもしれない。

自分の世界で精一杯な彼らには、当然かもしれないが、なんだかさみしいぜ……。

「いずれにせよ、ロヴィーノ君は一度病院で精密検査を受けるべきです」

「んな大仰な……」

菊の言葉にロヴィーノは否定気味にこたえるが、顔には不安げな陰が落ちていた。

彼自身も様々な憶測を抱えているようだった。

私も、フェリちゃんも、フランシスも、皆が同意する。

心配MAXされている場の空気に、ローヴィノは渋々頷いたのだった。

そんな、どことなく微笑ましいような雰囲気を、

「――おなか減ったんだぞッ!」

ずっと黙っていたアルが、盛大にぶち破った。
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