第33章 閉じ始める序説まで
“奴ら”は意識を奪うだけ、それ以上の危害を加えてはこない。
ふつう、邪魔者であろうアーサーたちを排除するなら、殺すのが一番手っ取り早い。
しかし、ひたすら気絶させられるだけで――命まで奪われることはなかった。
「生かしたままの方がずっとめんどくせぇだろ。つまり俺らを殺そうとは思ってないんだ」
「……たしかに、そうかも。ちょっとおかしいよね」
「で、だ」
アーサーが急に顔を近づけたため、フェリシアーノがひぃ! と肩を飛び上がらせる。
「それを逆手にとって――……爆発させる」
「……は?」
アーサーの提案は以下のようだった。
爆音を鳴らし、わざと自分たちの居場所を知らせる。
それによって奴らをおびき寄せ、また私とロヴィーノにも居場所を知らせる。
ひたすら逃げる、撒く、そして――尾行する。
「…………は?」
「なんだよその死んで三日水槽に放置された魚みたいな目は!! た……たぶん執拗に追ってくるようなことはしねぇし――」
「超追ってきたらどうするんだよぉ!!」
「追ってこねぇって! 俺を信じろ! お前の逃げ足は高く買ってるんだ! なんならおやつにこれを食って――」
「やだよおおおおおおおおお! スコーンまずいよおおおおおおぉぉおおぉぉぉおおおお!!」
「て、てんめぇ~~!!」
アーサーは泣きそうになった。
~回想終了~