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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第32章 回帰と代入と


「あー感動の再会シーンのとこ悪いけどよ、お前ら――」

ぶち壊しな声色で、アーサーが口を開いた。

本人にも自覚があるようで、どこかバツが悪そうな様子。

兄弟仲がいいからって嫉妬してるのか? うん?

「ち、ちっげーよばかぁ!」

どうやら心の声が顔に出てしまっていたようだ。

アーサーはめげずに、肩ごしに親指を後方に向けた。

指の先には、壁に座りこみうなだれたままの、ロヴィーノ(偽)。

起きそうな気配はない。

つまり彼が言わんとしていることは――

「逃げるぞ!!」

「結局それか!」

言うが早くアーサーは駆け出し、窓枠を無駄に優雅に乗り越え、ダイナミック退室していく。

その足取りがなんだか軽快で、緊張が茶化されるというか、笑いそうになる。

隣で、くすっという笑い声が聞こえた。

フェリちゃんも、私と同じような気分になったのだろうか。

涙に潤み、普段の三倍程澄み切った瞳が、くるっと私に向く。

彼は手を差し伸べ、弾むような声で言う。

「行こっ!」

「はい!」

その手を取り、私は走り出した。
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