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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第32章 回帰と代入と


「ロヴィーノ! 大丈夫!?」

「……い……生き、てんのか、俺……?」

ロヴィーノは恐怖に満ち満ちた口調で、“撃たれた”箇所らしき後頭部に、恐る恐るふれる。

予想にありがたくも反して、出血もなく無傷だった。

おかしいぞ? とでも言いたげな表情をしている。

よかった――けども、不可解だ。

他に弾痕はなく、外したようではない。
  、、、
彼はなにを撃ち込んできたんだ?

引っかかる。

弾丸なんかより、もっと恐ろしい“なにか”だったら――

ガッシャアアアアアアアアアアアアンンン!

「ッッッッしゃああああああああああああぁぁぁぁぁ!!」

突拍子もない二連続音に、一瞬思考停止する。

窓ガラスが割られ、破片が空中に飛び散った。

目の前を透明なカケラがきらきらしながら落下していく。

灰色に光っているのは、曇り空の反射だろうか。

それをぼんやり目で追っていると――灰色が、鮮やかな緑色に変容した。

宝石のペリドットのような色彩、やんちゃにキラキラ輝く瞳――の上の、太い、常人離れした、主張の強い、眉毛――

「よう、待たせたな」

「「ア……アーサー!?」様!?」

呆気にとられた私とロヴィーノが、きれいにハモった。

その反応を喜ぶかのように、吊り上がった口の端がさらに意地の悪い笑みを描く。

というか……なぜガラスをぶち破ってダイナミック入室してきたの?

「この大英帝国サマが来たからにはもう安心だぜ!」

「ヴェエ~いくらなんでも派手すぎだよぉ!」

その後ろから現れたのは、泣き顔で抗議の声をあげるフェリちゃん。

せっかく格好つけて登場したのに、相方の登場方法が不満らしい。

アーサーはフェリちゃんの首根っこをぐいと掴んで、自分のもとへと引きずってきた。

懐かしさすら覚えるほど、安心する声、姿。

光が差し込む窓を背にして、ふたりが立っていた。
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