第32章 回帰と代入と
体の中心から、高温のエネルギーがとめどなく溢れてくる。
外に放出しなければ、体内で爆発してしまいそうだ。
手足の操作が覚束ない。
滑稽なくらいぎこちない動作で立ち上がるが、どこかの回線が切れたロボットのように、ガタガタ不規則に体が揺れる。
ロヴィーノがなにか言った気がした。
けれど私は、衝動のままに腕を振って、体中を暴れまわる熱をぶちまけた。
――守られてばかりじゃだめだ
――だから失ってしまったんだ
後方に倒れていた彼の体が、凄まじい強風に煽られたように、さらに後方に吹き飛ぶ。
そのまま雑巾のように、音を立てて壁に叩きつけられた。
彼の口の端を赤いものが伝う。
、、
それを目にしても、一向に衝動は収まらない。
暴走するエネルギーがあとからあとから噴き出してくる。
自分の口から低い唸り声がもれていた。
破壊音とともに、窓枠がひしゃげ、ガラスがひび割れる。
陥没する地面が揺れる。
建物自体がミシミシと悲鳴をあげていた。
自分が撒き散らしているエネルギーのせいなのか、そうでないのかわからない。
それを考える力すら抜け落ちていく――
「もうやめろ!」