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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第32章 回帰と代入と


「ち、地上……か……?」

膝に手をつき、息荒くロヴィーノが尋ねる。

階段の終わりには、広い踊り場が待っていた。

私は頷く。

何階分駆け上ったかはわからないが、窓があり、ここが一階であることを示していた。

窓から外を覗くと、もうもうと煙が上がっている地点がいくつか見えた。

自分の感覚と、覚えている限りの建物の風景を照らし合わせる。

感覚は正しかった。

おそらく、テレポート地点はすぐ近くのはずだ。

それを伝え、一刻も早く向かおうとロヴィーノの方を振り返ると、

「公子っ!」

恐怖に見開いた瞳。

割れるような悲鳴。

そして間もなく、背中に鋭い軌跡が走った。

「……ぁ……っ」

一瞬呼吸ができなくなる。

衝撃に前のめりになり、倒れそうになるのをどうにか踏みとどまった。

今にも崩れそうな足で、緩慢に体を後ろへねじる。
、、
それを認識したとき、自分の呼吸が再び止まるのを感じた。

「ロヴィー……ノ……?」

目の前の人物は――ロヴィーノと瓜二つのそいつは――返事のかわりに、表情のない顔で右手をこちらへ向ける。

すぐ真横を空気の塊が突き抜けた。

ドン、という鈍い音と、呻き声。

「……に……げ、##AME1##…逃……」

「あなたは、誰なの?」

「逃げ……ろ」

背後のかすれ声が、衝撃音に殺されて聞こえない。

透明ななにかに吹っ飛ばされ、私は壁に叩きつけられた。
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