第32章 回帰と代入と
道幅は人二人がやっと通れるくらいだった。
天井には蛍光灯がついているようだが、光りもせず、置物のように沈黙している。
なんとなく、デジャヴじみたものがよぎった。
――ルートに落とされ、ギルに連れられた地下が。
「階段だ! つかこっちであってんのか?」
「あってます! この方向なら戻る場所に行けます!」
ロヴィーノは私の発言に疑問を持ったようだが、黙って信じてくれたらしい。
階段を駆け上がる音と、荒い息遣いのみが響く。
この施設の場所もわからないのに、なぜ、戻る場所、すなわちゴーストタウンにテレポートしてきた地点がわかるのか。
肯定の返事をした自分でも、よくわからなかった。
どこぞのマジカル眉毛紳士のように、“感じるから”としか言い得ない。
磁石のように引きつけられるままに、私の足は動いていた。
――ドンッ!
油断していたタイミングで、また爆発音が轟く。
「さっきより近くねーか!?」
「大丈夫です、こっちであってますから!」
ビビリながらも、必死で階段を駆けるロヴィーノ。
フェリちゃんと一緒に爆走したことを思い出す。
あれはメリカから逃げるためだから、今よりはだいぶマシな状況ではあるが(多分)。
やはり兄弟なのか、(逃げ)足が速く、着いていくのがやっとだ。
衝撃でパラパラおちてくる埃を手で払っていると、次第におぼろげな光が見えてきた。