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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第31章 He want not to stay,


続けざまに物音が発生する。

ひとつは、私を支えようとして、自分が転んでしまったロヴィーノの転倒音だった。

揺れがおさまったところで、慌ててロヴィーノに駆け寄る。

「大丈夫ですか!?」

「ち、ちくしょー……。って、お前……」

転げた痛みにしかめられていた顔が、ふいに怪訝そうなものになる。

ロヴィーノは私の手元を指さしていた。

つられて目を落とすと――なんと、両手の輪を繋いでいた手錠の鎖が、切れていた。

前に倒れて、地面に手をついたところまではわかるが、いつ切れたのだろう?

キン、という音はこのせいだったのか。

「あれ、切れてますね」

「お……お前、どんな怪力で引きちぎったんだよ!」

「しっ失礼な! 人をパワー系ゴリラみたいに言わないでください!」

「そこまでは言ってねぇ! でも倒れた拍子にどうやって切れるんだよ!」

「う……それは、私にもわかりかねますけど……」

いろいろな意味で思い悩む私に、ロヴィーノがとんでもない要求をしてきた。

「ちょっと、俺のもちぎってみてくれ」

「はい!? 無理ですよ! それとちぎるって言い方やめてください!」

「試す価値はあるだろ。それもお前の、この世界での特技なんじゃねーか?」

そう意味深に言われると、従うほかなくなってしまう。

トリップできて、“鍵”であって、さらに怪力?

いよいよ意味が不明な段階に達してきたな……。

そう憂鬱な気持ちで、おとなしく(?)ロヴィーノの手錠を引きちぎろうとする。

……キン

すぽっ、と抜けるように、簡単に鎖は切れた。
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