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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第31章 He want not to stay,


「……」

「……」

「そんな目で見ないでください!!」

ロヴィーノの「コイツ……やべぇ」と言いたげな瞳に心を挫かれながら、私は立ち上がった。

ドアノブをカチャカチャ捻る、が、当然のごとく開かない。

ロヴィーノと私はタイミングを合わせ、扉に体当たりした。

すると、

「……あら?」

拍子抜けするほど簡単に、扉が壁から吹き飛んだ。

年季の入った板の扉を押し倒したような感触だった。

「っし。……お? 狭いが足元に常夜灯がついてんな」

ロヴィーノの声を聞きつつ、外れた扉を観察する。

鉄製、ごく普通の厚み、錆びはあるが、機能に問題はなさそうだ。

……おかしい。

思考が疑念に入りこむ前に、手があたたかな温度をまとった。

「離れるなよ」

それは、ロヴィーノの手だった。

どこか懐かしいようなその体温を、一度は失いかけた感覚を、確かめるように握り返す。

――親分やったよ、あとはもう、帰るだけだよ

私たちは牢屋をあとに、常夜灯が鈍く照らす通路を走りだした。
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