第31章 He want not to stay,
「そのまま気を失って、気がつくとここにいた。やられた、って思ったんだが、どこも血出てねぇし、腹はあんま空いてねーし。俺の感覚じゃ、気を失ってから半日くらいだ」
半日――ほぼ私たちと同じだ。
このゴーストタウンが、身体にどういった影響を及ぼすかはわからない。
それを疑うと際限もない。
なのでひとまず彼の感覚を信じるとすると、益々あの血痕は誰のものだったのか、わけがわからなくなる。
「ちょっと気になったのが、銃声が二つ聞こえた気がしたんだよ」
「気を失う前、ですか?」
「そう。俺と相手がほぼ同時に撃って、俺が気を失う直前、もう一発聞こえた……ような気がすんだ」
「んー……」
考えあぐねていると、唐突に地面が波打った。
と思うと爆発音が耳をつんざき、ミシミシと建物が軋む。
衝撃が私たちの立っている地面まで伝わり、揺れを起こしたらしい。
爆発場所が近いということだ。
考えるのはあとか――とにかく、どうにかしてここから逃げ出さねば!
立ち上がろうとすると、再び地面がぐらつく。
「あぶねーからまだ立つな!」
ロヴィーノの注意は遅かった。
まるで地面がバウンドするような、一際強い衝撃が起こり、私はバランスを失って前に倒れこむ。
キン!
バタン!