• テキストサイズ

【ヘタリア】周波数0325【APH】

第31章 He want not to stay,


「一緒にここに来たアーサーじゃ、ない」

「……」

彼の目が、スッと細められた。

吸い込まれそうな緑眼が、じっと私を射貫く。

呼吸さえ躊躇われるような気迫が、真正面からぶつかってくる。

答え合わせをされている、のか。

目をそらしたい気持ちを奮いたたせ、言葉をつないだ。

「なにが目的かもわからないし、理由もわからない。けど、困ってることがあるなら、もしかしたら私、力になれるかもしれない。……だから、あの3人にはなにもしないで」

意外にも、目をそらしたのは彼だった。

まるで、私の言うことがわかっていたかのように、視線を下げた。

それは力なく俯いているようにも見える。

予想外の反応に戸惑いつつも、さらに畳みかけた。

「ひょっとしたら私の目的の原因と、同じ原因かもしれない」

彼らも“異変”にまつわる問題を抱えているのでは?

どこか煮え切らない、そんな態度にどうしても“敵”だとは思えなかった。

わずかなやり取りだが、不思議と確信めいたものがあった。

敵、というよりむしろ彼らは、“異変により不本意にうまれた存在”のような。
/ 378ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp