第31章 He want not to stay,
「一緒にここに来たアーサーじゃ、ない」
「……」
彼の目が、スッと細められた。
吸い込まれそうな緑眼が、じっと私を射貫く。
呼吸さえ躊躇われるような気迫が、真正面からぶつかってくる。
答え合わせをされている、のか。
目をそらしたい気持ちを奮いたたせ、言葉をつないだ。
「なにが目的かもわからないし、理由もわからない。けど、困ってることがあるなら、もしかしたら私、力になれるかもしれない。……だから、あの3人にはなにもしないで」
意外にも、目をそらしたのは彼だった。
まるで、私の言うことがわかっていたかのように、視線を下げた。
それは力なく俯いているようにも見える。
予想外の反応に戸惑いつつも、さらに畳みかけた。
「ひょっとしたら私の目的の原因と、同じ原因かもしれない」
彼らも“異変”にまつわる問題を抱えているのでは?
どこか煮え切らない、そんな態度にどうしても“敵”だとは思えなかった。
わずかなやり取りだが、不思議と確信めいたものがあった。
敵、というよりむしろ彼らは、“異変により不本意にうまれた存在”のような。