第31章 He want not to stay,
「アーサー・カークランドだが? 忘れたとは言わせねぇぜ」
彼は底意地の悪そうな笑みで答える。
それも、違和感だった。
なにかが違う。
……でも、なんだろう?
不安に押しつぶされそうになりながらも、悲愴なほどに強い決意を瞳に宿していた、フェリちゃん。
きっと誰よりもリスクを理解していたにもかかわらず、協力を申し出てくれた、アーサー。
その二人と、ゴーストタウンで会った二人は、本当に同一人物なのか?
この違和感は、単なる私の願望の産物か?
なによりも――ロヴィーノは、無事なのだろうか?
「――……まさ、か」
震えた声が、自分の口から零れる。
ふと、ある考えが頭をもたげた。
目の前の冷えきった瞳を、焦点も合わないまま見る。
『――複製しようとすると、情報が吸い出され――』
「お前……」
思い出したくもない記憶が、頭の中で声となって響きだす。
『――最後にはオリジナルが破壊されてしまう』
、、、、、、、、、、
「アーサーになにをした?」