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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第31章 He want not to stay,


目が覚めたとき、そこにいたのは意外な人物だった。

「……ロヴィーノはどこ」

「第一声がそれかよ」

彼は鼻で笑うと、答えるつもりはさらさらない、とでも言うように口元を歪めた。



――――

私がいたのは、小さな部屋だった。

床は石畳、といえば聞こえは良いが、コンクリートがむき出しで、家具はひとつもない。

あるのは、私が拘束されている椅子。

格子つきの窓。

それだけだ。

牢屋――まさにそんな名がふさわしかった。

窓とは言っても、差しこむ光はわずかで、薄暗いことこの上ない。

さらにその光は曇り空から、ときている。

彼の顔――アーサー・カークランドの顔も、普段より一層不機嫌そうに見えた。

「……えっと……」

情報が同時多発的事故を起こし、思考回路にひどい渋滞をもたらしている。

世界会議のときとは、立場も、雰囲気も、まったく正反対だ。

やっぱ縛られるより縛られてるのを見る方がおもしろい――じゃなくて。

しげしげと、目の前の男を観察する。

寝起きと言われても納得する金髪、高慢そうなペリドットの瞳、主張の激しい眉毛――

一目で、かの大眉毛ランドさんだとわかった。

「……誰?」

けれど、ほとんど無意識に、そんな問いが口から転がりでた。
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