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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第30章 条件制御エミュレータ


――止めなくちゃ!

足音を最小限立てないようにして駆ける。

あと数歩のところで走るのをやめ、一歩ずつ近づいていく。

アーサーが走り出そうとするその瞬間、フェリシアーノは彼の肩を掴んだ。

「ぎゃぁ――んぐ」

「静かに!」

驚いたのか絶叫しそうになったアーサーの口を塞ぎ、そのまま建物の影へ引きずり込む。

向こうの死角に入ったところで、アーサーが暴れだした。

押さえつけていた手を離すと、アーサーの驚愕と怒りに歪んだ眉が、ゆっくり困惑の形をとっていく。

「っにすんだよ! ……って…………は? え……?」

「証拠は出せないけど、『俺が本物だよ』」

突然のことに怒ろうとして、しかしフェリシアーノの顔を見、さらにおずおずと建物から向こうの二人を覗くと、アーサーは口をぱくぱくさせた。

フェリシアーノは、まっすぐアーサーを見つめて言う。

「このまま行ってもやられちゃう。あいつは武装してる」

「ちょ……ちょっと待ってくれ、思考の整理が――」

「でも殺傷目的の武器じゃなかった。だから公子ちゃんがすぐ殺されるようなことはないと思う」

「――なんで知ってんだ?」

そう言うのが精一杯のように、アーサーはやっと声を搾りだした。
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