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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第30章 条件制御エミュレータ





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

寒々しい、どんよりとした曇り空。

目に落ちてきた灰色に、靄がかった思考が徐々に覚醒していく。

「……あ、れ」

どのくらい意識を失っていたのかわからない。

数分にも数時間にも感じられ、フェリシアーノは自分が仰向けに倒れていることに気づいた。

瞬間、上半身が跳ね上がる。

反射的に額に手をやるが、血も出ていなければ、痛みもなかった。

「俺……撃たれたんじゃ……?」

たしかに、自分と瓜二つの顔をした“彼”は、銃口を向け、それを笑みなんか浮かべながら放ったはずだ。

意識を失っただけで、外傷はない。

アントーニョが言っていた麻酔銃だろうか。

三日間眠る効果があると言っていたが、欠陥品だったりするのだろうか(ありうる……)。

すべてが夢か幻覚か、そう思い始めたとき、フェリシアーノの視界の端でなにかが動いた。

「っ!? あいつ――」

“彼”と公子だ。

“彼”が公子を壁に押しつけているようにも見える。

そして、少し離れた場所から、今にも駆け寄ろうとしているアーサー。

ためらうより先に、フェリシアーノは走り出していた。
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