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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第30章 条件制御エミュレータ


フェリシアーノは前髪を上げ、傷ひとつない額を見せる。

「さっき撃たれたんだ」

「は!?」

フェリシアーノのあっけらかんとした声音に、アーサーは思いきり声をあげた。

「額にね。バシッときた。でも今のところ異状はなにもないよ。推測だけど……強力な麻酔銃だと思う」

「麻酔銃って、それ……」

「とにかく、気づかれないように後を追――」

フェリシアーノの言葉は、そこで途切れた。

ぐらり、体が傾く。

折られたように膝が地面に落ち、そのまま体ごとくずおれた。

「っ――!?」

アーサーは背後に気配を感じ、ハッと身を翻したが、遅かった。

首に冷たい衝撃が走る。

柔らかな、それでいて実体が希薄な、不思議な感覚。

右半身にドシンとした痛みを感じ、自分が倒れたのを理解した。

フェリシアーノが、すぐそばで倒れている。

瞳には……あぁ既に光はない。

急速に刈り尽くされていく意識の中、残された力を振り絞って“そいつ”を見上げる。

特にスタイリングされていない金髪、高慢そうな緑眼、薄い嘲笑を浮かべているようにも見える唇。

“そいつ”はアーサーと全く同じ顔で、もう一度トリガーを引いた。

それがアーサーに見えた最後の景色だった。
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