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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第30章 条件制御エミュレータ


「答えて。知ってるんだろ、兄ちゃんはどこ? 兄ちゃんになにをしたの?」

「そんなに知りたいなら、なんでソレを使わないんだ?」

彼が顎で、フェリシアーノの腰の銃を示す。

ハッと思い出したようにフェリシアーノが手を伸ばすより早く、彼が銃口を突きつけていた。

銃口を前に、フェリシアーノの動きが凍る。

銃を抜く前の体勢で、とまる。

「お前の覚悟を教えて」

にこやかに銃を構えたまま、彼はそう告げた。

けれど、フェリシアーノの腕はぶるぶると震えたまま、銃にたどり着けない。

動けば撃たれる、しかし銃を手にしなければ先はない。

そんな葛藤と恐怖が汗となって、フェリシアーノの頬を伝う。

沈黙が続く。

――彼の微笑に、失望の影が落ちた。

……――パンッ

軽い音が弾けた。

フェリシアーノの額に不思議な感覚が衝突する。

冷たいような、酩酊感のような、思考能力を溶かす形容しがたい感覚。

――俺、撃たれちゃった?

フェリシアーノには、彼が引き金を引いたことしわからない。

けれど、それで十分だ。

意識が蝕まれていく。

――ルートに銃、返せないな、また怒られちゃうな――

手足の感覚と意識が、暗がりへ落ちていく――……
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