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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第30章 条件制御エミュレータ


「……だっ誰、だよ……お前――っ」

動揺するフェリシアーノとは対照的に、彼はにこやかな笑みをたたえたままでいる。

それがかえって不気味さを増していて、フェリシアーノは喉がひきつるのを感じた。

「彼女が憎くないの?」

「……え?」

彼は質問に答えず、そんなことを言った。

「お前は怒ってないの? 公子ちゃんが違う、もっとしっかりした行動を選んでいたら、兄ちゃんはこんなことにはならなかった。そう思わないの?」

無邪気そのものの声音で、彼は優しく尋ねる。

彼は頭のてっぺんから爪先まで、フェリシアーノとそっくりそのまま同じだった。

鏡に映したように、全く見分けがつかない。

けれどただひとつ――瞳だけが、同じブラウンでも違う気がした。

彼の瞳は、死者のように空虚だ。

「……兄ちゃんをどこへやった」

「……」

彼は唇を閉じた。

薄い笑みを浮かべたまま、フェリシアーノを真っ向から直視する。

その視線は、自我や思考を削るように、フェリシアーノは感じた。

ずっと見ていると、催眠状態になりそうな――本能的な危険を覚える。
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