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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第30章 条件制御エミュレータ





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「ヴェーどこだよぉー!」

聞いてない、フェリシアーノは心の中でそう叫んだ。

目を覚ますと、二人の姿がなく、彼一人でこのゴーストタウンに立っていた。

離れ離れになるなんて聞いてない、それとも置いていかれた? いやいや、さすがにそれはない……と思いたい。

その場でつっ立っているわけにもいかず、フェリシアーノは町並みを移動し始めていた。

さっきから二人の姿を探しているが、そもそも人間が現れない。

一体この街はどうなっているのだろうか。

曇り空は、今にも雨を零しそうに寒々しい。

四車線あろうかという道路はただっ広くて、余計に孤独を感じさせる。

「兄ちゃん……どこ?」

公子がいなければ、正確な位置がわからない。

それどころか、帰ることすらできない。

アーサーがいなければ、「なにか」と争うような事態になった場合、彼だけでは対処しきれない。

なぜ二人はいないんだ?

フェリシアーノの頭を、嫌な想像が駆け巡った。

それを振り払うように歩く速度を上げると、十字路にさしかかる。
     、、、、、
と同時に、ありえないものが見えた。

「……え?」
、、、
そいつは、こちらに手を振りながら歩いてきた。

それでいて、腹が立つくらいのんきで、陽気な笑みを浮かべていた。

その笑みは、寂寞としたゴーストタウンで、不自然なくらい浮いていた。

思わず目をこする。
   、、
けれどそれは変わらない。

目を逸らしたいのに、そこで笑っている現実を否定したいのに、一瞬たりとも逃れられない。

「……お前、は――」

――いつかに交わした会話が、よみがえる。

「やぁ、フェリシアーノ」

目の前の人物は、フェリシアーノと全く同じ顔で巧笑した。
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