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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第30章 条件制御エミュレータ






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「くそっ!」

悪態のままに、アーサーは壁を叩いた。

「あいつらどこにいやがる!」

川に飛びこんだとき、なにかが違う気がした。

いつもの、彼が知っている移動と、なにかが違っていたのだ。

その違和感を象徴するように――公子とフェリシアーノの姿が見えない。

一緒に、同じタイミングで移動したのだから、離れ離れになるはずがないのだ。

少なくとも、彼の考えではそうだった。

しかし、辺りにはアーサー以外、人っ子一人いない。

眼前の町並みは、一見して普通だ。

アスファルトにレンガ造りの建物、街路樹、街灯、曇り空、遠くにはビルも見える。

見慣れた郊外の風景だ――車も、人もいないことを除いては。

「どうなってんだ――ん?」

歩いていた彼の足が、ふと止まる。

「あれは……なにしてんだ!?」

アーサーの視線は、やや離れた前方の角、その入口に注がれていた。

そこには公子とフェリシアーノがいた。

かと思うと、フェリシアーノが公子を壁に叩きつけるような動作をした。

「あいつ……テレポートして頭でもやられたのか!?」

遠目でよくわからないことにアーサーは舌打ちする。

星の杖を取り出し、二人のもとへ走り出した。

しかし彼は、背後から迫る影に気づいていなかった。
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