• テキストサイズ

【ヘタリア】周波数0325【APH】

第30章 条件制御エミュレータ


「よかった! 誰もいなくて驚い――」

私は言葉を続けることができなかった。

突然、圧迫感が首にのしかかってきたからだ。

同時に背中が壁に叩きつけられる。

なにが起きているのか、すぐには理解できなかった。

首の骨と肉が、ぎちぎち一緒に押しつぶされて痛い。

血が頭にのぼり、じわじわとした鈍い痺れが顔にひろがっていく。

「う……ぁ……っ」

反射的につむった目をひらく。

目の前には、無感情に私を見つめる、フェリちゃんがいた。

彼の両手は、私の首を隙間なく締め付けている。

「ふぇ……り、ちゃ……」

満足に声が出ない。

それどころか、酸素が肺にまわらない。

なぜか脈拍のリズムがおかしくなったように感じた。

空気を欲して脂汗がにじむ。

……どういう状況なんだ……?

彼の目は、ひどくつまらないものを見るようだった。

けれど奥底に、静かな憎悪があるようにも見えた。

その音のない感情は、私の抵抗に目もくれず、淡々と空気を奪い続ける。

――私が憎いよね……

視界が霞む。

意識が遠のいていく。

最後に、彼の口の端が歪むのが見えた。
/ 378ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp