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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第30章 条件制御エミュレータ


静かすぎる――

そんな違和感を、まず覚えた。

無感情な風の鳴り、それだけが不気味に耳に響いてくる。

「フェリちゃん? アーサー……?」

周囲を見回すが、二人の姿はない。

見るのが三度目となる街は、全く人の気配がなかった。

街路樹の葉がときおり風で掠れるだけ。

他は死んだように黙っていて、よくできた立体映像を見ているような気分になる。

「いないの……?」

立ち上がりながら、不思議と自分が落ち着いていることに気づいた。

確かに、ゴーストタウンに来れた。

見覚えのある町並みから、一回目と二回目と、そう変わらない位置にいるようだ。

よって“戻る”位置もここだ。

目印の赤褐色の屋根を注視しつつ、ゆっくり足をすすめる。

二人はどこだろうか。

まさか一緒に来れなかったのだろうか。

それとも、離れたところに飛ばされた?

考えを巡らせながら角を曲がると、前方の少し離れたところに、フェリちゃんの背中を見つけた。

「フェリちゃん!」

自分以外を見つけた嬉しさで、思わず声が上がる。

私は急いで駆け寄った。
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