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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第29章 for dear my imaginary blank


「っ!」

フェリちゃんの声と手で、ハッと我に返る。

危うく私は、手すりを乗り越えようとしていた。

前から肩を抱くフェリちゃんに、心配そうに顔を覗きこまれる。

「大丈夫? 無理してない?」

「は、はい……大丈夫です、行けます」

「……ありがとね、公子ちゃん」

「え?」

「でもちゃんと、俺に守らせて?」

くすりと微笑するフェリちゃんに手を引かれ、手すりから下がらされる。





わかる。私には、わかる。

消失点が、この薄蒼い水底に、確かにあることが。





フェリちゃんは黙って川を見ていた。

無表情に、穏やかな瞳で睨んでいた。

――でも彼には、なにが見えているんだろうか?

「じゃ、行ってくる」

銃の最終確認をして、アーサーが宣言した。

と、ルートがフェリちゃんに、おもむろになにかを渡す。

フェリちゃんは驚いてルートの顔を見た。

「これ、ルートが大事にしてる銃――」

「きちんと返せ。わかったな」

厳しい声音で短く言うルート。

そんな彼に、フェリちゃんはまず苦笑して、つぎに眉を下げて泣きそうになって、さいごに100パーセントの笑顔でこたえた。

「……うん、もちろん!」
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