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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第29章 for dear my imaginary blank







めいめい支度を終え、玄関に出る。

最後に出た菊は、浮かない顔のまま、鍵を閉めた。

向かう先の川はやや大きめで、橋がかかっている。

その川の流れの、ある地点が消失点らしく、身を乗り出して、まぁ、飛び込むらしい。すごいイヤ。

「んな顔すんなって菊、公子を信じろ」

「わっ私ですか!?」

「他に誰がいるってんだ――お! 感じるぜ、まさしく消失点だ!」

「……公子ちゃん、やっぱりお兄さんも一緒に行こうか?」

テンションが上昇中のアーサーとは対照的に、他の皆は一様に不安げな影を濃くさせる。

せせらぎ、というよりはザーザーした流れ。

ゴツゴツした岩、石はないが、それが逆に深さを物語るようだ。

――本当にやるの?

いろいろな意味で鬱々と水面を見下ろしていると、

「……?」

ふいに、水の揺らぎが緩慢になった錯覚に陥った。

例えるなら、文字のゲシュタルト崩壊のような、不可思議な感覚。

吸い込まれそうなキラキラした太陽光の反射が、水流の音が、風が、心地よい目眩を引き起こしていく。



――この感覚を、私は知っている――



「公子ちゃん!」
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